《十七音のうた》 道東の海霧を払ふ摩周岳 (川 景) 2013年7月、釧路川源流をカヌーで下った。原生林の中を滑るように行く。 釧路はいつも寒い。釧路沖で、暖流の黒潮が寒流の親潮によって冷やされ海霧が発生、この霧が内陸の摩周湖に達すると、 眼前は一面の霧となり、なにも見えなくなる。 「べつの名所へ行きましょうか」と運転手は言って走り続けたが、突然「摩周岳が見える、いまなら晴れてますよ」と言ってひきかえした。 別世界があった。 海霧も摩周岳もこのとき知った言葉。
道東の海霧を払ふ摩周岳 (川 景)