2021年3月号
特集:ヒヨドリ
まずは2月号冒頭の「特報! 朝日俳壇に入選!」に触れなければならない。わたしが入選したかのような戯れ文ではあったが、
原稿を書く段階ではまだ当該俳句が朝日新聞に発表されていなかったのでやむを得なかった。
まあこんなこともあろうかと「脱線劇場」にしておいたんだけど。
「派遣切られ抱きし児の指す冬薔薇(ふゆそうび)」(2021.1.24 高山れおな選)
でした。なお佐藤氏は男性。本名は「朕」の字の月ヘンを目ヘンに代えた字。
●写真俳句について
朝日新聞「アスパラ写真俳句塾」入選作
さて今月はヒヨドリの写真を掲載したいのだが、その前に触れておかなければならない写真がある。
ベッド頭上の壁に六つ切りワイドの写真を飾っている。床の間の掛け軸のつもりで始めた。
わが家にはヘルパー、看護師など週に10人ぐらいのひとが来る。その人たちを歓迎するつもりだった。
掛け軸は春夏秋冬季節に合ったものを掛けるのだと聞いた。年に4枚あればいい。
総評のなかで森村さんは《藤川景さんの最優秀作は、窓枠に仕切られたわずかな視野に舞う鵯(ひよどり)に託し、
寝たきりの身を忘れて自由な空間をはばたいている。ベッドに縛りつけられてはいても、窓からの眺めは広大な空間へとつづいている。
鵯が舞っているのではなく、寝たきりのわが身が舞っているのである。》と書いてくださった。
●「常(とこ)臥(ぶ)し」という単語
「常(とこ)臥(ぶ)し」などという単語は初めて見た。父に問うと「自分の造語だ」という。ところがあるとき正岡子規の句にこの言葉を見つけた。
子規が使っているなら紛い物ではない。しかし『日本国語大辞典』を見ても出てこない。ひょっとしたら子規の造語かもしれないが、
彼ならその資格があるといっていいだろう。そんなわけでわたしも使わせてもらうことにした。
●なんとしても食ってやる
接 近 → 最接近
成 功
メジロは蜜柑が好きだ。蜜柑を水平2つ切りにして窓辺の木に刺すと、すぐに寄ってくる。ところが蜜柑が好きなのはメジロだけではない。
ヒヨドリもすぐさまやってくる。それはいいのだが、ヒヨドリは体が大きいから、あっという間に蜜柑を食い尽くしてしまう。
なんとかヒヨドリに食わせずメジロだけに食わせる方法はないか。つかまるところがなければ食えないだろう。
そう思って百円ショップで30cmもあるS字フックを買ってきて、木の枝先のつかまる場所がないところにぶら下げた。
それでもフックにつかまって食う。つかまれないようにフックに油を塗った。ツルツルすべってあわてる様子は滑稽だった。
だが鳥類は人間よりはるか昔何億年も前から生息する先輩。なんとホバリングして食うようになった。
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