2021年4月号

《十七音のうた》

 《メジロ2題》

 春になって桜が満開になるとメジロが蜜を吸いに来る。するとテレビの女子アナが「ああ、ウグイスも来てますねえ」などという。 メジロとウグイスの違いの分からないひとは案外多い。ウグイスはウグイス色をしていない。茶褐色というのだろうか、 体もメジロより一回り大きく尻尾も長い。雄勁な容姿といっていい(下掲写真左下部、円内がウグイス)。

常伏の窓辺に見舞う目白かな   (川景) 0257

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陽を浴びて比翼のつがい蜜柑食ふ (川景)

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 この写真にははじめ「陽を浴びて比翼の目白蜜柑食ふ」という句を付けていた。ところがあるひとが、メジロと蜜柑ではどちらが季語なのですかといった。 調べてみると、メジロは夏、蜜柑は初夏。どちらも夏だ(東京では早春の鳥)。季重なりはまずいから目白をつがいに変えた。
パソコンの「コトバンク」で調べると、「雌雄それぞれが目と翼を一つずつもち 2羽が常に一体となって飛ぶという、中国の空想上の鳥。 夫婦の仲のよいことにたとえられる。」とあるが、 じっさい、メジロは幼いころからつがいを形成し、生涯添い遂げる。 比翼連理とはメジロのことだ。「コトバンク」の説明はちょっと不気味。雌雄一体ぐらいでいいのでは。
 かわいい鳥だから写真に撮ってコンクールに応募したいところだが、コンクールの主催者は「餌付けして撮った写真は応募できません」といっている。 人物の写真を撮ろうとすると、「本人の了解をとったものでなければ不可」それはたしかにそうだろうが、世の中は窮屈になっている。