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毎月更新

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口で本のページをめくり、頭に付けたレーザー光線でパソコンをあやつる

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 障害中年乱読日記(2003.6〜2008.12 掲載分)→

バックナンバー「障害老人乱読日記」(2009.1〜前号 掲載分)→


おねがい

今まで読者からいただいた感想を「読者の反響」として掲載することにしました。
ただ私はパソコンが苦手なので以前いただいたメールのすべてを見つけることができません。
「あれ? 自分の出した感想が載ってない」とおもわれたかたは、
ごめんどうでも号数と書籍名を添えて再度お送りいただけるとうれしいのですが。
なおこれからも毀誉褒貶いろいろなメールを期待しています。(藤川景)


 113(2018.7掲載)

 『世間のカラクリ』
 
(池田清彦、新潮社、2014.9)

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(6月号からの続き)

U 医療用大麻の解禁を

●大麻と麻薬は別物

 《大麻を吸ってたとえ体の具合が悪くなっても、それは本人の自己責任なのだから、規制する根拠はないに決まっていると私はおもう。 /酒を飲んでも、タバコを吸っても体の具合が悪くなる人はいる。登山をして命を落とす人もいる。 エベレストに登れば、その危険は大麻を吸うどころの騒ぎじゃない。これらは、なぜ禁止されないで、大麻は禁止なんだろうか。》 ここは80歳でエベレスト登頂を果たした三浦雄一郎氏を意識した文章で、ほんとうは、なぜ三浦氏は逮捕されないのだろうかと書きたかったにちがいない。 いいや、ゼッタイそうだ。わたしならフザケてそう書く。

 一般の冬山登山家が遭難すると県警・消防・自衛隊といった公的機関が救出にあたったばあいは税金で救出される。 かってに危険なことをしておいて、いざとなったらケータイで救助を呼ぶ。無料だから気楽なものだ(民間の救助隊を頼んだばあいは有料)。

 ついでに書くけれども救急車は有料にするべきだ。なんでもないのに話し相手がほしくて救急車を呼ぶのがいて、消防署は大いに困っているという。 1回5000円ぐらいでどうだろう。救急車は命に関わることだ。高くない。

●麻薬の処方を医師に依頼

 さて本書で最も興味を引かれたのは、大麻と麻薬は別物であるという一文だ。なぜそんなことに興味があるかというと、30年来脊髄損傷痛に悩み苦しんでいるからだ。 1日に15種類ぐらいの薬を服用しているが、その半数は鎮痛剤もしくは睡眠薬だ。

 MSコンチンという経口モルヒネを使っている頸損もいる。脊髄損傷では処方されないから、 脊髄腫瘍ということで出してもらっているという話だった(もちろん違法)。 それほど痛いのだ。わたしが主治医に「MSコンチンがほしいのですが……」とおそるおそるいうと、 「あれは末期癌のひとが飲むものです」とまったくとりあってもらえなかった。麻薬だからだ。

●脊損痛の痛み

   脊損痛がどれほど痛いか、あらゆる痛みは他人にはわからないが、これも理解できないだろう。 わたしのばあい1日24時間365日背中と腕(特に左の肩甲骨)が痛む。特に冬が辛い。寒いは痛い、痛いは寒い。 痺れ痛といったらわかってもらえるだろうか。脊損痛はもともと筋肉が細かく痙攣した結果起きるもののようだ。 そういえば受傷直後の数ヶ月間は奥歯をかみしめていないと歯がガチガチ鳴るほど震えていたのを思い出す。今でも痛みが昂じると腕の筋肉が痙攣する。

 最近カロナールが効くのを発見した。しかしこれも慣れると効かなくなるだろう。夜眠るときはリリカと眠剤を飲まずには眠れず、 それが効いてくれば眠れるが、全身麻痺で寝返りが打てないから、同じ姿勢で過ごしていれば脊損痛のほかに圧痛が生じる。 深夜に数回家内を起こして体位交換をしてもらう。頼まれるほうもたまらないだろう。

●大麻と麻薬は原料が異なる

 《日本では大麻を麻薬と勘違いしている人が多いので、まず、大麻は麻薬と違うという話をしなければならない。 ヘロインに代表される本物の麻薬は、強い習慣性があり、やめた際の禁断症状も強く、常習者は最終的に廃人に近くなる恐れがある。 (中略)一方、大麻は全く違う。大麻にはさまざまな品種があり、中には短期記憶を減衰させる作用を持つものもあるようだが、記憶障害を起こさない品種もあるという。 10代から吸いはじめると頭が悪くなるという研究もあり、私は大麻を吸うことを勧めようとは思わないが、だからといって法律で禁止していいというわけではない。 大麻を吸ったからといって、廃人に近くなるということはありえないからだ。》

 先生、ひとこと足りない。麻薬(オピオイド)すなわちモルヒネおよびヘロインは、ケシの花から作られる。 「麻薬」はもと「痲薬」と書いたようだ。「痲」は「しびれる」の意。「麻薬」は「麻酔薬」の略語。 混乱を避けるためケシから作られるほうはいっそ「魔薬」と表記すればいいのではないか。 もっとも、そうしたらしたで大麻を「魔薬」とゴッチャにする輩も出てくることだろう。

 一方大麻(マリファナ、cannnabis)は麻から作られる。大麻に含まれる数々の化学物質は「カンナビノイド」と総称される。 大麻オイルは精神への作用が少ないカンナビジオール(CBD)を主成分とする。

 大麻は5000年前から栽培されている。アメリカでもマリファナ(乾燥大麻)は合法的に栽培されひとびとの身近にあった。 それが1930年代後半になって、より依存性の強い麻薬へと導く「入口薬物」(ゲートウェードラッグ)として使用の禁止を求める運動が広まった。

 だが近年、米公衆衛生局長官が、「ある種の病気の症状」に有効としてマリファナ研究に注目。米国の23州と首都ワシントンでは、 すでに医療用大麻は合法化され、一部の州では嗜好品としての使用も緩和された。ほかの国々ウルグアイ、ポルトガル、イスラエル、カナダ、 オランダでは政府が医療用大麻の製造販売を支援している。カナダについては末尾に再度述べる。

 アルコール依存症やパチンコのほうが社会の厄介者になる確率が高い。イギリスの「ランセット」という医学誌は、 大麻はタバコやアルコールに比べてはるかに健康被害が少ないと述べている。

●大麻しか有効な薬がない

 《そもそも、大麻取締法は日本政府が独自の考えで作ったものではなく、戦後GHQの命令により泥縄で作った法律なのだ。 喧伝されている理由は二つあって、一つは進駐軍の兵士が日本国内で自由に栽培されていた大麻を吸って、リラックスしてしまい真面目に働かなくなるので、 大麻を取り締まれと命令したという説。もう一つは服を作る繊維である麻の原料となる大麻の栽培を制限して、 当時アメリカで盛んになってきた合成繊維の日本での市場を拡大しようと図ったという説。》後者ではないか。戦後アメリカは自国の小麦粉を輸出するために、 「米を食うと馬鹿になる」というキャンペーンを張って給食を米からパンに変えさせた。それ以来日本人の米離れが始まった。 《大麻取締法はなんの根拠もない法律の典型で、こういう無意味な法律を守らせることこそが権力の源泉なのである。》

 アメリカでは大麻合法化の動きが止まらない。医療用大麻を解禁する州がどんどん増えてきた。現在約半数の州で医療用大麻が合法化され、 専門の薬局で摂取できる。薬局の片隅で老婦人が「これがなければわたしは痛くて生きてゆけない」と泣きながら語っていたテレビの一場面が脳裏から離れない。 「あるタイプの神経障害性疼痛は大麻しか有効な薬がない」と池田も述べている。その他、癌、鬱病、緑内障など250種類の病気に効果があるそうだ。 政府は生物学者のいうことを聞くように。

  ●サインバルタ体験記

 主治医にマリファナ由来の薬はありませんかと、ダメモトで聞いてみると、「ありますよ」といともあっさりとした答え。 その名をサインバルタという。マリファナから作ったわけではなく、「一粒にレモン60個分のビタミンC」といううたい文句が、 じつはレモン60個を絞って作ったものではなく、合成アスコルビン酸を耳かきひとさじいれたにすぎないように、サインバルタの成分も合成品。 ネットで効能を調べてみると――。

   「ハイパー薬事典」というサイトによれば、「憂うつな気分をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態の治療に用います。 また、別の効能として糖尿病に伴う神経痛、慢性腰痛症や線維筋痛症にも有効です。云々。」マリファナとの関係は一言も書いてない。 公にしてはいけないことのようだ。

 まことにけっこうずくめの能書きであり、飲んだ当初は、最も痛い左肩甲骨の痛みがスッと引いた。これはすばらしい薬に出会ったといっときはおもったが、 副作用がひどかった。意欲を高め気分を高揚させる薬だからだろう、もともと不眠症のわたしはますます夜眠れなくなった。 家内は「目つきが悪くなり言動が粗暴になった」というので、これもじきに止めざるを得なかった。

 だが「ナショナル・ジオグラフィック」によれば「痛みの緩和や睡眠導入、食欲増進の効果もある。不安や精神的なショックを和らげる。 鎮痛薬や吐き気止め、気管支拡張薬、抗炎症薬としても期待されている。痛みの緩和や睡眠導入、食欲増進の効果もある。不安や精神的なショックを和らげる。 鎮痛薬や吐き気止め、気管支拡張薬、抗炎症薬としても期待されている」とある。1日も早く合成でない、副作用の少ない医療用の大麻を解禁してほしい。

●カナダが嗜好用マリファナを解禁

 2018年6月、カナダの上院は嗜好用マリファナの合法化に踏み切った。G7では初。カナダではあまりにも簡単にマリファナが手に入り子どもでも使う。 だが「10代から吸いはじめると頭が悪くなるという研究もある」と池田も指摘しているし、非合法なら犯罪者も儲かる。 そこで合法化して管理・罰則を強化するとのこと。

 嗜好用なんかどうだっていい。「タバコより害が少ないというデータもある」というが、データが少ないからに過ぎない。 多用すればタバコと同じ害が生じるだろう。だから嗜好用は後回しにして医療用をいち早く合法化するべきだ。